「 ズレ 」
1月22日。
大浦家家族のミコさんが大浦家からお引越しをする事になりました。
彼女は元々、生活保護を受け、デイサービスに通いながらひとりで生活をしていました。
しかし、徐々にひとりでの生活が厳しくなり、大浦家の家族の一員となりました。
彼女はデイサービスに居るリハビリの先生が大好きで、
大浦家に入居してからも、デイサービスには週3回通い続けていました。
そして昨年の10月頃。
担当のケアマネージャーさんより連絡がありました。
ご家族が毎月手出ししている状態で厳しくなって来た為、
どうにか出来ないかと相談があったとの事でした。
私はご家族にご連絡し、考え得る対応策をお伝えしました。
その後、しばらくご家族・ケアマネからも連絡はなく、
次に連絡があった時にはなぜか大浦家を退去する方向で話が決まっていました。
私は、
『くれぐれもご本人様の希望を聞いて尊重してあげて欲しい。』
と、ご家族様、ケアマネにお伝えしましたが、本人にあまり話を聞く事もなく、
なぜか本人は今のデイに通い続けられるのが一番の望みだという前提で新居を探す事になりました。
ご本人も、ご家族はいずれも義理の妹さんという事もあってか、
迷惑をかけて申し訳ないという気持ちから、本心を言えないようでした。
昔から通っているとはいえ、週に3回、数時間行っているデイと、
毎日我が家として生活している大浦家。
どちらがご本人にとって大切なのかは考えずともわかって頂けると思っていました。
ご本人がご家族にはっきり意思表示できない以上、
私の方からもあまりご家族に強く言う事も出来ず、
やむなく新しい施設へ移る事になってしまいました。
私と話している時、そしてお別れ会をさせて頂いた時、
彼女は、
『出て行きたくない。』
そう言って泣いていました。
私は彼女に、
「新しい所がどうしても嫌になったら、遠慮せずに家族に
大浦家に帰りたいと言ってね。その時はいつでも喜んで迎えるからね。」
そう言う事しか出来ませんでした。
なぜこうなってしまったのか。
はっきりとした理由はわかりませんが、もしかしたら他にも理由があり、
ご家族はそれを弊社に相談しずらかったのかもしれません。
弊社とご家族との信頼関係が、こちらが思う程、
築けていなかったのかもしれません。
そのせいでこのような結果になってしまったのではないか。
ご家族と気兼ねなく相談できる関係性だったら、結果は違っていたかもしれない。
彼女は何も悪くないのに。
周囲の想いや考え、関係性が少しづつズレてしまった為に、
彼女にとりかえしのつかない嫌な思いをさせてしまったのかもしれない。
そう思うと、とてもやりきれません。
彼女にはとても申し訳ない気持ちでいっぱいです。
本当にごめんなさい。
出来る事はまだまだあったはず。
せめてこれから同じ様な事が二度と起きない様、
私に出来る事を考え、行っていきます。
今、私が出来る事。
それは、彼女との関係をこれで終わりにするのではなく、
出来る限りこれからも彼女に会いに行き、
これ以上哀しい思いをさせない事だと思っています。
たとえ住む場所が変わっても、
彼女はいつまでも大浦家の家族なのですから。