「葛藤」
(※今回の主人公はあきひこです。自分への戒めの為9.9割、
大浦家や私の想いを知って頂く為0.1割の内容なので、読み飛ばしてもらって構いません。)
大浦家日記4月号で紹介したシマさん。
日記で書いた通り、入居してしばらくして落ち着いたかに見えましたが、その後、幻覚症状が再発。
夜中に様々な幻覚を見ては大声を出したり、幻覚に導かれ動き出し、転倒する。
うまくポータブルトイレ内で用を足せず放尿してしまう。などなど。
徘徊や物取られ妄想などの一般的な認知症の症状の場合であれば対応の仕様があるものの、
幻覚という手も足も出ない症状に、
すごいとか、優しいとよく言われるさすがのあきひこもやはり人間。
イラっとしてつい強い言葉で当たってしまう事も正直ありました。
その度にこれは本人ではなく病気がさせている事なのにと後悔。
焦っていました。
なぜなら、5月にアッコさんが隣の半個室に入居予定だったからです。
どうしよう・・・
このままではアッコさんに迷惑をかけてしまう・・・。
状況をお伝えしていたご家族は、
私が言うまでもなく大浦家を出て行く事を覚悟され、
次の行き先が決まるまで何とか置いてもらえないかと話してきました。
実際、悩みました。
シマさんにかかる多大な労力、そして先に控えた入居。
どうしよう・・・。
「やるだけのことはやったよ。新しい入居者の方にまで迷惑はかけられないだろ。
退去してもらったら全て解決するんだから、家族に退去のお願いをして楽になろう。」
と、私の心の一部が囁きます。
結局、私はご家族に退去の話しはせず、精神科受診にて昼間に影響が出ない範囲で
夜間しっかり眠れるように眠剤の調整をお願いする事にしました。
そして、新たに入居したアッコさんに迷惑をかけず、すぐに対応出来るよう、
シマさんを私の部屋でみる事にしました。
そして現在。
まだ時折幻覚は現れるものの、
激しい物は少なくなり、夜はほぼ眠れる様になりました。
今シマさんは私の側でぐっすり眠っています。
本人曰く、独りは寂しいけん兄ちゃんと一緒の部屋の方が良い。
だそうです。
もしかしたら孤独感や不安感が幻覚に強く作用してたのかもしれません。
もし、あの時私が投げ出していたらシマさんがこんなに穏やかに眠れる事はなかったかもしれません。
そう思うと、本当に良かった。
そして、シマさんを放り出そうと少しでも思った自分が恥ずかしい。
あの時、私を思い留めたのは、私の夢であり、大浦家を作った理由でした。
『認知症や介護が必要な人が普通に生活出来る場所を創りたい!』
「それを目指している私が放り出して良いわけがない!
それじゃあ普通の施設と変わらんやん!」
と、思ったからです。
人間追い詰められると初心も忘れ、馬鹿なことを考えるもんですね。
シマさん本当にごめんなさい。
そして、ありがとうございます。
と、いう事でシマさんが私と相部屋になった為、
定員が1名増えたのでした。
(※定員が9名から10名になりました。)