「むかご」
我が家には、お決まりの散歩コースがあります。
それは、近くの公園まで行って帰って来るコースです。
歩ける方にとっては、楽過ぎず疲れすぎずのちょうどいい距離。
そんな大して遠くない距離ではありますが、道中では草花が咲いていたり、
色んな果物の木を庭に植えている立派なお宅があったりと、
季節を感じさせてくれる物が沢山あります。
散歩の際、みんなが必ずチェックするのが先ほどの立派なお宅の庭になる木。
やはり食べ物はみんなの心を惹きつけるようです。
特にサエさんは散歩に出る前から「今日は何が生っとるかね~」と、
食べ物の事しか頭になく、綺麗な草花には目もくれません。
ミカンがたくさん生っていた時期には、
たくさんミカンが生っているのに回収する気配がないのを見て、
皆が、
「もったいない」
「私たちにくれたらいいのに」
と、毎回言うので、厚かましくも
「庭に生っているミカンを頂けないでしょうか?」と、
そのお宅を訪ねて行きました。
どんな反応をされるだろうかと心配して行きましたが、
とても親切な方で、嫌な顔一つせずにミカンを譲って頂きました。
その後も、取れたミカンをわざわざ大浦家まで届けてくださったり、
去年突然できた大浦家に住む私達に、とても優しく接してくださいます。
そして最近、今度はスタッフが散歩中にそのお宅の庭に生る、
あるものを発見しました。
それが「むかご」です。
むかごは、長芋や自然薯などのヤマイモ属の蔓になる肉芽の事で、
今はあまり食べないようですが、
昔はよく家庭でも食べられていた様です。
栄養満点で、別名「山のうなぎ」とも呼ばれているそうです。
ミカンの件で味を占めた大浦家は、またも厚かましく訪ねて行きます。
2度目の訪問にも親切に迎えてくれたご近所さん。
自分の家にむかごが生っているとは知らなかったようで、
これまた快く譲ってくれました。
その後、お礼の品を持ってお礼に伺うも、受け取れないと丁重に断られました。
隣にどんな人が住んでいるかも分からない現代の世の中で、
失われつつあると言われているご近所付き合い。
始めるきっかけは、ほんのちょっとの勇気。
そして厚かましさかもしれません。