「 九女 」
2月25日。
大浦家に九女となる、ユキさんがやってきました。
ユキさんは、アルツハイマー型の認知症はありますが、
身体は元気。
本人は覚えていないと思いますが、
実はユキさんの事は、以前から知っていました。
なぜなら、大浦家設立前に勤めていた有料老人ホームの入居者だったからです。
私はその時期営業職をしており、現場でユキさんに関わる事は、
ほとんどありませんでしたが、
とても大人しく、品のある方だなという印象でした。
それともう一つ。
大人しく、穏やかなユキさんですが、
実は、施設入居前は病院で咽頭がん治療に係る放射線治療を受けていて、
首回りや口の中、身体の中が放射線治療の影響で焼けただれ、
ただ水を飲む事さえ地獄の様な痛みや苦しみが伴う。
そんな痛みや苦しみを乗り越え今の元気な状態を勝ち取った、
とても強い方だという事。
入居時もまだ首回りは火傷の跡が目立つほどでしたが、
痛みや苦痛を訴える事もなく、いつも穏やかな笑顔を絶やしませんでした。
私が施設を退職する際、
入居者の方やそのご家族には挨拶をせず退職したので、
そのままお別れとなりました。
(※介護業界では、入居者の引き抜きなどを警戒し、
退職時に挨拶をする事が出来ない所もあります。
私の場合、独立するので余計できませんでした。)
そして今年の1月。
大浦家に電話がかかってきました。
『こんにちは。○○ですが。』
「ん?」
私は誰だかわからず困惑。
『ユキの娘の○○です。』
「あっ!!」
聞けば、現在の施設の対応に不安を感じており、
本人の認知症の進行状態や、
日常的に身体を動かせない事による身体機能の低下などを心配され、
元気なうちに別の施設を探そうと思い、
ネットで探している時に大浦家のホームページを見つけ、
私を発見したとの事でした。
その後、大浦家を見学、体験入居を経て、大浦家の家族になりました。
まだ入居したてでみんなに遠慮しているのか、
自発的な行動や言動はみられませんが、
これからどのようにユキさんが変化していくのか。
とても楽しみです。