「 土産話 」
先月もご紹介しましたが、1泊2日の旅行中、面白い事が盛り沢山でした。
ひとりひとりゆっくりとお話ししたい所ですが、あまり長々とお話しすると、
最近の事が書けなくなってしまいますので、今月号で一気にお話ししたいと思います。
六女のマルコさんの場合。
マルコさんは元々、物盗られ妄想という症状があり入浴に対する拒否が強かったのですが、
大浦家に来て落ち着いて入浴出来る様になりました。
それが、旅行先といういつもと違う環境の変化があった為か、再発。
温泉に入るのを嫌がります。
貸切風呂の制限時間は2時間。
スタッフは、手を変え品を変えスタッフを変え、
何とか温泉に入って貰おうと奮闘。
何とか入って貰う事が出来たのでした。
長女のトミさんの場合。
久々の旅行とあって張り切るトミさん。
前日から、あーでもないこーでもないと旅行の荷造りをしていました。
ただ、必要なものは既にこちらで準備をしており、
お土産に必要なお小遣いも家族にお願いし預かっていました。
スタッフは何度も何も持って行く必要がない事を説明し、納得します。
当日、前日の説明を忘れているトミさんはまた準備を始めます。
出発時刻が迫り、スタッフが再度説明、納得し、出発します。
スタッフは、忘れ物をしない様に、
荷物が増えない様にと考えての事でしたが、
これが間違いでした。
トミさんは事あるごとに、
「財布をもってきとったんじゃけどなぁ。どっかに忘れてきてしまった。」と、
何度も訴えます。
その度にスタッフは出発時のやりとりを説明し、心配を拭い去ろうとしますが、
お金の不安というのは強いもので、結局、旅行中何度もこの説明対応に追われる事となりました。
「次回は本人の持ってきたい物を、好きに持ってこさせよう」と、
心に誓うスタッフなのでした。
九女のユキさんの場合。
以前もご紹介しましたが、
ユキさんは収集癖(症状)があります。それは、今回の旅行でもいかんなく発揮されます。
なんといってもホテルの部屋には、持ち帰っても問題ないアメニティがいっぱい♪
収集心に火がついた彼女は、歯ブラシや輪ゴム、櫛など、
見つけた端から次々とポケットや懐に収めます。
そのうち、どれがアメニティでどれがそうでないのか区別がつかなくなります。
気付けば同室のスタッフが何気なく置いておいた私物もいつのまにか姿を消し、
彼女の懐で暖められ、大切に保管されているのでした。
十一女のヨネさんの場合。
彼女には自分の歯はありません。
総入れ歯だったのですが、
もうずいぶん前に入れ歯を紛失してから、ずっと入れ歯の無い状態。
なので、食事は毎回ミキサー食を摂っていました。
嚥下能力には問題が無いため、
大浦家に来てからはご家族にお願いし、義歯を再度作成。
現在はみんなと同じ普通の形で食事を摂れるようになりました。
ただこの時はまだ義歯作成中だったので、ミキサーを持ち込みホテルの方にお願いし、
コンセントの近くの席に座らせてもらい、
一回一回ミキサーをかけて食べてもらう予定でした。
ただそれでは味気ないし、
せっかくの旅行でしかもバイキングだから形のあるものを食べさせたいと、
スタッフがそのままでも食べれそうなやわらかい物を選び、
試しに食べてもらう事にしました。
結果、ヨネさん食欲大爆発!
歯茎だけでしっかり噛んでスタッフが持ってきた端からペロッと平らげてしまいます。
結局、持ってきたミキサーが使用される事はありませんでした。
そして、同じ様に食欲大爆発していたのが、
八女のジュンさん。
ただ、彼女が大爆発していたのはスイーツ欲でした。
彼女は沢山並んでいるケーキを見て、食べ放題と聞くと、
目を輝かせます。
傍から見ても心躍っているのがありありと分かるほど。
そして彼女は躊躇する事なくある決断を下します。
それは、ご飯を食べる量を減らしてその分ケーキを食べる。
でした。
彼女は食事を軽く済ませ、その後はケーキ三昧。
その様子を見守っているスタッフは、あっけにとられ笑うしかありません。
ケーキを幸せそうな顔で食べている彼女を見ていると、
見ているこちらまで幸せな気分にさせられるので、
彼女を止める事は誰にも出来ませんでした。
結局、彼女はケーキを10個も平らげてしまいました。
そんなこんなで初日を終え、2日目はいよいよサファリパーク!
ライオンやゾウなど色々な動物に直接餌やりを体験できるジャングルバスを1台貸し切り、
不調の為バスで休んでいるアイさん以外、
車いすの方も含め、全員バスに乗り込みます。
この日はあいにくの天気で小雨や霧が出ており、肌寒かったのですが、
始まってみれば何のその!
車内のあちこちから賑やかな声があがります。
「あそこになんかおる!」
「ほら、お食べ。」
「すごーい!」
「かわいいねぇ♪」
「わー!トミさんその餌は違う!」
「きゃ~、恐ろしい。」などなど。
1時間ほどの乗車でしたが、終わってみればあっという間でした。
その後、復活したアイさんも合流し、
沢山の子犬と触れ合えるスペースで子犬との触れ合いを楽しんだ後、
昼食を食べ、家路につくのでした。
1泊2日という短い時間でしたが、
色々な事があり、それぞれの個性が良く出たとても楽しい旅行になりました。
今回、大浦家家族旅行でのそれぞれの事について書きました。
文章だけ読むと、もしかしたら大変そうだと思われる方もいるかもしれませんが、
私は大変だと言いたくて書いたわけではありません。
実際に、思っていた以上に大変ではなく、ただただ楽しかったです。
始めは不安に思っていたスタッフも、終わってみれば楽しかったと皆が言います。
私が言いたいのは、
ただただ楽で、楽しいだけの大した土産話もない旅行よりも、
十人十色それぞれの個性があり、
それぞれの旅行の楽しみ方があり、
それぞれのハプニングがある。
そんなみんなと来れたからこそ、
この家族旅行がとっても楽しく豊かなものになったという事です。
最後に、今回入院の為参加出来なかったアッコさん。
次回は絶対一緒に行こうね♪
そして、楽しみにしていたのに来る事が出来なかった
サエさん。
そしてマコさん。
2人の写真を旅行中常に持っていたんだけど、
天国で一緒に楽しめたかなぁ。
楽しんでくれてたら嬉しいな。