「 身体と心 」
皆さんが普段生活していく中で、
次にあげるような行動をしたことは ないでしょうか?
・大笑いして手を叩く
・考え事をしている時、手を頭にもっていく
・イライラしている時、貧乏ゆすりをする
・嬉しい事があった時、ついニヤニヤしてしまう
おそらく誰もが経験のある事だったのではないでしょうか。
この例からも分かる通り、人間の心と身体は密接に繋がっていて、
お互いに色々な影響を与え合っています。
先程の例では、精神状態が身体に影響を与えている例でしたが、
逆に身体を動かす事で、精神状態に影響を与える事もあります。
上手い例えが思いつきませんが、
例えば、
・好きな歌を歌うとテンションが上がる。
・本番前に決まったルーティーンで行動し気持ちを落ち着かせる。
と、こんな感じでしょうか。
つまり、何が言いたいかというと、人の気持ちを変えたい時には行動を。
人の行動を変えたい時には気持ちを変える事で、
人の状態は変える事が出来るという事です。
当シェアハウスが、介護施設の様に効率を求めず、
非効率であってもスタッフに任せず、
自分の今ある力で生活行動に参加してもらうのには、この考え方があるからです。
例えば、大浦家の入居者の方々は写真を見ても分かる通り、
積極的にお手伝いをしてくれます。
が、始めからそうだったわけではありません。
どちらかと言うと、始めは動く事を嫌がり、何もしたがらなかった程です。
以前も書きましたが、高齢者の方は、子供の独立やパートナーとの離別、病気など、
様々な経緯を経て、孤独感や不安感、寂しさなどが強くなってきます。
身体に障害を負ったり、身体は元気であっても認知症で正確な判断ができず、
自分が周囲に迷惑をかけている状況に、混乱したり、罪悪感や無力感を感じ、
何もしないと徐々に無気力になって行きます。
その状態を変えて行く為に、始めにお話しした心と身体の繋がりを使って行くのです。
単に流れを説明すると、まず私達の事を認識し、相手の事を知り、信頼関係築いていきます。
その方の性格や趣味嗜好、好きな会話などを踏まえた上で、
まずは簡単な動かずにすぐ終わる様なお手伝いからお願いしてみます。
例えば、食後に台拭きを渡し、自分の目の前の部分だけテーブルを拭いてもらう。
自分の洗濯物だけ畳んでもらう。
その方の近くに置いている物、もしくは置いた物を取ってもらう等々。
そしてお手伝いをしてくれたら、少し大げさなくらい感謝を伝えます。
これをただただ繰り返すだけです。
繰り返し行う事で、それを習慣にしていくのです。
これを成功させるポイントは、信頼関係の構築と感謝です。
まずは信頼関係を築き、自分の事を認めてもらい、好きになってもらう。
そうする事でお願いを聞いて貰い易くなります。
皆さんも自分の好きな人のお願いは聞いてあげたいと思いますよね?
それがすぐに済む簡単な事であれば尚更だと思います。
そして、人に感謝されて嬉しいと思わない人はいませんよね?
それが好きな人であれば、もちろん尚更嬉しいはず。
さらに高齢者の方は先程の様に、無力感や寂しいと言う気持ちがある為、
人に感謝されたり、自分が誰かの役に立っていると実感出来る機会があると、
余計に嬉しいのではないかと思います。
他にもよい事が幾つかあります。
お手伝いで身体を動かす事で、身体機能や認知機能の低下を防ぐ事が出来たり、
自分の力で生活していると実感する事により、
今まで遠慮して言えなかったわがままが言える様になったり、
生活意欲や活動意欲が出てくるなど、色々な効果が見込めます。
そしてさらに、このお手伝いにはまだ先があります。
お手伝いは人にお願いされてするものです。
言わば受け身で行う行動。
これを受け身ではなく、自発的な行動に変えていく。
わかりにくいので少し説明します。
例えば、先に挙げたテーブル拭きのお手伝いを毎日実践し、
その甲斐あってテーブルを拭くのを断られる事もなくなり、習慣化出来たとします。
そしたら次は、本人にお願いはせずに、
食後にテーブルの上など目に付く場所に台拭きを置いておきます。
そして、後はじっと様子を伺うだけ。
上手くいけば、台拭きに気付き、自分で手に取り、テーブルを拭き始めます。
そうなればこのテーブル拭きは、傍から見たら完全に自発的行動となります。
自発的行動のきっかけを作る。
それを続けていると、介護者がきっかけを作らなくても、
自発的な行動がどんどん出て来るようになってきます。
これこそが介護の理想形だと私は思っています。
こうして、中々動きたがらなかった大浦家の方々は今の様な状態に変わって行ったのです。
身体を動かす事で気持ちが変わり、気持が変わる事で行動が変わり、
行動が変わる事でまた気持ちが変わり・・・。
この好循環を続けて行く事で、精神的に落ち着いて充実した生活をして行く事が出来ます。
わかりやすくざっくりとお話ししましたが、心と身体の繋がりについてわかって頂けたでしょうか?
皆さんも生活する中で、嫌な事や悲しい事、色々な事が日々あると思います。
そんな時は、気持ちのまま行動するのも悪くはありませんが、
少しだけ、今回のこの話を思い出してみて下さい。
そして、次の様にして下さい。
ニコッと笑顔を作り、『わっはっは!』と声に出して笑ってみるのです。