皆さんこんばんは(●´∀`)ノ あきひこです。
今月の大浦家・上津役家日記も過去のブログから、
評判の良かったものを紙面で読んで頂いている方へ読んで頂こうと、
少し加筆修正を加えたものになっております。
ブログで一度読んで頂いた方も、改めて読んでみると、
また違った発見があるかもしれませんので、お読み頂けると幸いです。
皆さんこんばんは(●´∀`)ノ あきひこです。
今月の大浦家・上津役家日記も過去のブログから、
評判の良かったものを紙面で読んで頂いている方へ読んで頂こうと、
少し加筆修正を加えたものになっております。
ブログで一度読んで頂いた方も、改めて読んでみると、
また違った発見があるかもしれませんので、お読み頂けると幸いです。
この時、あなたならまず始めに何と声を掛けるでしょうか?
次の中から選んでください。
①今日はもう遅いから、明日にしたらどうですか?
②もうすぐご家族が迎えに来るので、もう少し待ちましょう。
③ご飯を用意してますので、食べて行って下さい。
④そうですか。気を付けて帰って下さいね。
さぁ、あなたなら①~④の内、どの声掛けをするでしょうか?
回答を選び、なぜその声掛けをするのか、
その理由まで考え付きましたら、次の章へお進み下さい。
「 正解 」
皆さんは、先程のクイズの解答に何番を選んだでしょうか?
①今日はもう遅いから、明日にしたらどうですか?
②もうすぐご家族が迎えに来るので、もう少し待ちましょう。
③ご飯を用意してますので、食べて言って下さい。
④そうですか。気を付けて帰って下さいね。
実はこれ、どれを選んでも正解です。
「なんじゃそりゃ!」と、思われるかもしれませんが、相手は人間。
間違いなんてありません。
どれを選んでもうまくいくかもしれないし、うまくいかないかもしれません。
ただし、私の中ではより良い正解があります。
それは、④です。
より良いとは、あきひこさんの帰宅願望を治める為に、
一番うまくいく可能性が高い正解という事です。
④を選んだ方は認知症介護に向いているかもしれません。
では、なぜ④なのか。
それを理解して頂く為に、今から皆さんを少しだけ、
認知症の方の世界へご案内したいと思います。
では、今から私の言う事を想像してみて下さい。
・・・想像してください。
あなたは、ふと気が付くと見た事もない場所に居ます。
あなたの周りには知らない人が沢山います。
「ここはどこなんだろう?」
「どういう経緯でここに居るんだっけ?」
「うーん。思い出せない。」
「よくわからないが、とりあえず何とかして家に帰らなければ・・・。」
そう思ったあなたは、たまたま自分の横を通りかかった人に声を掛けます。
「家に帰らないといけないので、失礼します。」
はい。ここまで。
想像出来ましたか?
さて、この時のあなたの混乱や不安な気持ちを踏まえ、改めて考えてみて下さい。
最後に声を掛けた人に、次の様に声を掛けられたら、あなたならどうしますか?
①今日はもう遅いから、明日にしたらどうですか?
②もうすぐご家族が迎えに来るので、もう少し待ちましょう。
③ご飯を用意してますので、食べて言って下さい。
どこだかわからない場所で、名前も知らない人にこの様に言われて、
あなたは素直に応じるでしょうか?
私なら知らない人にこんな事を突然言われたら、何か怖い、怪しい、と思ってしまいます。
では、これはどうでしょう?
④そうですか。気を付けて帰って下さいね。
どうですか?
不信感も何も抱かないのではないでしょうか?
そう、それこそ④が一番うまくいく可能性の高い正解である理由です。
もし、①②③の解答で不信感を抱いてしまったら、
その後、その怪しい人に何を言われようが、聞く耳を持ちませんよね。
この第一声で不信感を持たれないようにする事は、
その後の対応に大きく響いてくるので、とても重要だと私は思っています。
この様に、その方の視点から考えてみると、
④が正解である理由に皆さんご納得頂けたのではないでしょうか。
認知症は記憶の障害を伴う病気だという事は、皆さんもご存知だと思います。
知っているのにうまく対応できないのは、知識として知っているのと、
自らの知恵(その知識を自分の身に染み込ませ、行動できる事)として身に付けている事とでは、
普段の行動、言動にあきらかな差があるからだと思います。
という事で、以上解答編でした。
「いやいや!④が正解なのは理解できたけど、でも実際④を言ったら本当に帰っちゃうじゃん!」と、
心の中でツッコミを入れたあなた!
ご安心ください。次章で説明致します。
「 その後の対応 」
その後の対応方法については、
利用者様の反応によってその都度対応が変わって来る為、
各対応方法について細かく説明するとかなり長くなってしまうので、
一番オーソドックスな対応方法とその流れを簡単に説明します。
まず大まかな流れは、
①良い第一印象
②信頼関係をつくる
③楽しい会話
④妥協案提示
⑤施設に戻る
以上の流れになります。
全ての流れの中で注意しなければいけない事は、
良く観察し、その方の精神状態の変化をしっかりつかんだ上で、
その方が一番ストレスを残さずに、自然に戻って頂けるような誘導を心掛ける事です。
では、流れに沿って説明しましょう。
クイズの解答通り、
あきひこの「家に帰らないといけないので、失礼します。」との声掛けに対し、
④の「そうですか。気を付けて帰って下さいね。」と答えました。
あきひこはそのまま外に出て行ってしまいます。
こちらは後について外まで出て、笑顔でお見送りします。
すると、あきひこは外に出たものの、
その場所の土地勘がない為、どっちに行けば帰れるのかわかりません。
そこで、帰る手伝いを買って出ます。
住所を聞いて方角を教えたり、必要であれば近所の方に道を尋ねたりして、
まず自分が怪しい人ではなく、親切な人、信頼できる人間だと感じてもらいます。
これがうまくいかないと、こちらが何を言っても聞く耳を持ってもらえません。
次に、利用者様の精神状態を見ながら、
帰れなくて不安だろうという話から、徐々に楽しい話へシフトしていきます。
(※普段から、どの様な会話をすると楽しめるのかを探っておくと、この様な時によりスムーズに対応できます。)
ほどんどのケースでは、楽しい会話を続けているうちに、「帰ろう」と思った事を忘れているので、
ある程度歩いて不安感が落ち着いた所で休憩を提案し、施設へ戻って来ます。
そうでない場合は、歩き疲れた所で妥協案を提示します。
例えば、
「まだお家までかなりかかりそうですけど、大丈夫ですか?」
「あっ!そういえば以前あきひこさんのご家族にご挨拶した時に、連絡先を聞いていました!
もし良かったら、電話して迎えに来てもらえないか聞いてみましょうか?」
こんな感じです。
始めにこれを言うと不審に思われる可能性がありますが、信頼関係が出来、
楽しい会話をした後になると、疲れもある為か、驚くほどすんなりと聞き入れてもらえます。
その後、電話をする為と言って施設へ戻ります。
認知症であっても、強い感情や想いは継続する傾向にありますが、
それがある程度解消され安心感を持つと、本来の状態に戻りますので、
後はその方の記憶保持能力に応じて楽しい会話を続ける事で、
ストレスをあまり感じずに施設での生活に戻る事が出来ます。
以上が、その後の対応方法となります。
現在の高齢者施設では、このような帰宅をしようとされる方がいる場合、
(※一般的には徘徊と呼ばれますが、呼称が嫌いなのでここでは 帰宅と書かせて頂きます。)
施設の玄関に施錠をして、外に出られない様にしている所が多いのが現状です。
しかし、施錠する事では解決するどころか、
閉じ込められる事でより「帰りたい」という想いを 強くしてしまい、
いつまでたっても落ち着かないという事が起きます。
落ち着いたとしたら、それは絶望した時なのではないでしょうか。
私はこのような方を数人見させて頂いた経験がありますが、
大変であっても毎回今回の様に対応して行く事で、ほとんどの方が落ち着きました。
いつでも好きな時に外に出れる。
そして、ある程度満足した状態で施設に戻る事でストレスを残さない。
それが、うまく対応する上で、一番大切な事なのではないかと思います。