皆さんこんばんは(●´∀`)ノ あきひこです。
お待たせいたしました。
今月もどうぞよろしくお願い致します。
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「 理想と現実 」
どの業種に対しても言えることかもしれませんが、
福祉の仕事をしていると、理想と現実の板挟みになり、悩まされることが沢山あります。
その中の1つが、利用者ご本人様の想いとご家族様の想いが違う場合です。
例えば、
●ご本人
大変でもいいから、施設ではなく自宅で生活したい。
●ご家族
仕事もあり、常に身の回りの世話をする事もできないし、
事故なども心配なので、安心できる施設で生活してほしい。
このような時、介護者はどうすればいいのか。
ご本人様の想いを聞くと、その願いを何とかして叶えてあげたいと思います。
ご家族様の想いを聞くと、
現実問題としてそれを実現させてあげることが難しい事に納得せざるをえません。
介護者は高齢者の方々を支援する為の存在ですが、
その仕事を通してご家族の介護負担を軽減する為の存在でもあります。
今回のケースの場合、ご本人様の希望を優先しすぎると、
ご家族様の負担を増やし、疲弊させてしまう事になるかもしれません。
そして現実問題として、一介の介護スタッフにこの問題に対処する権限もありません。
介護施設は入居者あってのもの。
たとえご本人の希望があっても、わざわざ自宅に帰し、退去させて収益を減らすような事はしません。
ですから、介護スタッフは何とかごまかしながら対応するしかないのが現状です。
さらに、同様のケースの中で、以前、次のような事がありました。
帰宅願望のある方が終末期を迎え、状態が悪くなった時の事。
私はこのままその方が亡くなってしまう事を受け入れられませんでした。
きっとまだ大丈夫。
まだ持ち直せる。
そう思い、私は次のように声を掛けていました。
「〇〇さん、もう少し元気になったら一泊だけでもご自宅に帰りましょう。
だからしっかりご飯食べて少しでも元気になりましょう。」
しかし、そう言いながらも私は、自分自身のズルさに胸が痛むのを感じていました。
結局、その方は持ち直す事はなく、お亡くなりになられました。
介護職とはこれでいいのか。
どうするのが正解なのか。
以降、同じ様な事がある度に、
ずっとこの疑問がささくれの様に心のどこかでズキズキと疼くのでした。
「 理想と現実の重心 」
上津役家家族のコウさん。
彼は入居前、病院に入院されていましたが、
その時から、自分はどうなってもいいから自宅に帰りたい。
そう周囲に訴えていました。
しかし、現在の状態ではとても自宅で生活する事は難しく、
ご家族は上津役家へ入居する事を決めました。
上津役家家族の仲間入りしてからも訴えはありましたが、
上津役家での生活が落ち着くにつれ、徐々に訴えは減っていきました。
病院受診の度に訴えを受けていたご家族様も、最近は訴えを受ける事が無くなったと安心されていました。
しかし、私は訴えが落ち着いてきてホッとする気持ちの反面、
また心の中のささくれがズキズキと痛むのを感じていました。
訴えは落ち着いてきているんだから、このまま様子を見ていけばいい。
そう思う所もありましたが、
もし、このまま上津役家で生活してもいいと思って落ち着いてきたわけではなく、
『自分の望みは叶わない。』と
諦めて訴えが落ち着いてきたのだとしたら・・・。
私達が良いと思っていた事が、実は本人にとっては、
唯一の望みを諦めるという、絶望を味わわせる結果になっているかもしれない。
そう思い、改めてコウさんの気持ちを確認する事にしました。
当然ですが、彼は野垂れ死にしてもいいから自宅へ帰りたいと言っていました。
そして、もうひとつ。
『自分が周りにどんなに訴えても、誰も聞いてくれない。』とも言っていました。
悪い予感が当たりました。
本人の理想と実際の現実。
どこで重心をとり、本人、そしてご家族の想いに対するバランスをとるのが良いのか。
私は今までずっと感じてきたこの問題に対する疑問と、逃げずに向き合う事にしました。
考えた末にひとつの結論を出し、すぐに行動に移す事にしました。
まず、コウさんのご家族に時間を作って頂きました。
そして、ご本人様の想いと、前章に書いた事等をお伝えしました。
その上で、コウさんを1泊でもいいので、自宅に帰宅させて頂きたい。
もし、ご家族の皆様が帰宅中のコウさんの身の回りの介護が難しいと思われるようであれば、
当日にご家族様が外泊して頂ければ、私が一緒にコウさんの自宅に泊まり込み、
身の回りの介護をさせて頂くので、どうか一時帰宅という形でコウさんの理想を叶えてもらえないか。
そうお願い致しました。
ご家族は、一旦話を持ち帰り、みんなで検討してみますと言ってくれました。
しばらくして、ご家族から、
『子供達と相談して、家族みんなの休みを合わせて、1泊帰宅させる事にしました。』と、
お返事を頂きました。
お返事を頂いた時、私は心の中で、「よっしゃー!」っとガッツポーズをとっていました。
実は私は、コウさんの気持ちを確認した時に、
出来る限りコウさんの願いが叶うように頑張るから、約束するから、信じてほしい。
そう彼と約束してしまっていたのです。
早速彼に1泊だけだけど帰れる事になった事を伝えた所、
『なんね、たった1日ね。』と言っていましたが、その顔は少し嬉しそうでした。
そして・・・。
10月23日。
コウさんは1日だけではありますが、念願の自宅への帰宅を実現させたのです。
上津役家に帰宅後、ご家族に自宅に泊まった時の様子をお尋ねした所、
次の様なお返事をメールにまとめて送って頂きました。
―以下、原文のまま―
こんばんは、先日の一泊外泊の感想をお伝えします♪
その日は孫、ひ孫が来て色々とお話が弾んでいました。
私は、無事に外泊が終わってほっとしています。
大変だったことは、夜のトイレ介助が二時間毎で四回起きましたので、
寝不足になり翌日の午前中は休憩を取りました。
孫達にも感想を聞きましたので箇条書きします。
・以前は一人になると5分もせずに誰かを呼びつけていましたが
今回は一人の時間も穏やかに過ごしていたおかげで家事も
やりつつ構うことができてお互い過ごしやすく感じました。
・以前はこだわりが強かったですが、お薬の白湯も、お茶でもいいよと言ってくれたり、
自分で出来る範囲の準備や片付けもできるようになっていて驚きました。
・一緒にコマを回して遊んだり、
普段している塗り絵やプリントを嬉しそうに見せてくれ楽しい時間を過ごせました。
・ご飯は好物のちらし寿司や刺身を用意しましたが、
固い~といいつつ、残さず食べてくれたので嬉しかったです。
・おしゃべりもしっかりしていて認知症の進行を感じず以前より元気になったように感じました。
・ひ孫と2人だけで遊ぶ時間もあり楽しそうにしていました。
大変な事もありましたが、全体的に楽しい時間が多く、いい時間を過ごせたと思います。
上津役家の日々のリハビリの成果が、このような結果としてあらわれていると感謝しております。
今後もどうぞよろしくお願い致します。
以上です。
その後、コウさんの帰宅願望がより強くなってしまう事を心配していましたが、
その心配も杞憂に終わり、帰宅後も上津役家で落ち着いて過ごされています。
今後、コウさんが完全に自宅に帰れる事はないのかもしれません。
しかし、今回の様なお泊りを定期的に行えるようになれば、
コウさんもいつか、現在の上津役家での生活も悪くないと思ってくれるかもしれません。
そうなればご家族様が心に抱いているであろう、
嫌がるコウさんを施設に入居させてしまったという罪悪感も無くなるかもしれません。
そして、時折ご家族皆さんで過ごす機会を持つ事で、
どちらかに精神的負担や肉体的負担を負わせる偏った生活ではなくなり、
お互いが譲り合った上で、今まで以上により良い関係性でいられるのではないでしょうか。
これが、今回私が出した、理想と現実のバランスが取れる重心の答えです。